治療概要
| 治療内容 | 初回根管治療(抜髄) |
|---|---|
| 治療期間 | 2週間(他、補綴処置(2回)術後3ヶ月後、1年後の経過観察等を除く) |
| 治療回数 | 2回(他、補綴処置(2回)術後3ヶ月後、1年後の経過観察等を除く) |
| 費用 | 379,500円(最終補綴処置・消費税を含む)※2024年当時の治療費 |
| リスク・副作用 |
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東京で精密根管治療をご検討の方へ。右下第一大臼歯に根尖周囲の透過像を認めた症例について、初回根管治療から最終修復、術後の画像変化までをご紹介します。
治療前の状態・主訴
患者様は約半年前に他院でむし歯治療を受け、その後、強くしみる症状を自覚されました。前医では『虫歯治療の際にはよくあること』と説明され、しばらく経過観察を指示されていました。
しばらくして痛みがなくなったことから、そのまま過ごされていましたが、1か月ほど前から強い痛みを感じるようになり、その後、歯肉の腫れを自覚し、当院を受診されました。
当院での診査では該当する歯の神経に反応がなく(神経が死んでいる状態)、歯肉には腫脹と瘻孔(膿の出口)を確認しました。レントゲン写真でも根尖周囲組織に透過像を認め、歯髄壊死および根尖性歯周炎と診断しました。


治療詳細
治療では、根管内に適切にアクセスしながら、健全な歯質をできる限り保存することに配慮しました。初回処置で根管の形成・洗浄を行い、根管内には水酸化カルシウム製剤を貼薬し、仮封しました。
約2週間後の2回目の来院時には、痛みや歯肉の腫れがなくなり、瘻孔も消失していることを確認しました。再度根管内を確認・洗浄した後、バイオセラミックシーラーを用いたシングルポイント法で根管充填を行いました。続いて接着性材料による支台築造を行い、歯冠側からの細菌侵入の抑制にも配慮しました。
感染源の除去と根管洗浄
根管内の感染源を除去するため、歯質を可能な限り保存することに配慮しながら、根管形成と機械的・化学的洗浄を行いました。根管洗浄の原則・使用薬剤・治療コンセプトについては、当院の精密根管治療ページ「2. 洗浄」で詳しく説明しています。
水酸化カルシウムを使用した理由
本症例では、根管内の細菌数を減らすことを目的に、水酸化カルシウムを根管内貼薬として使用しました。水酸化カルシウムは強いアルカリ性による抗菌作用を期待して用いられる薬剤です。
ただし、貼薬によって治癒率が必ず高まることが確立しているわけではありません。根管形成・洗浄・根管充填・歯冠側の封鎖を含む一連の感染管理が重要です。


根管充填は根管内のすき間を封鎖し、感染の再発を防ぐために行う処置です。支台築造(被せ物を支える土台をつくる処置)も歯の上側から細菌が入り込むのを防ぐうえで重要です。ただし、根管充填直後の画像だけでは治癒の成否は判断できず、その後の臨床症状と画像の経時的評価が必要です。
治療後の様子




約3か月後の画像では、術前と比べて根尖周囲の透過像に縮小傾向がみられます。その後の画像でも透過像の縮小と周囲の骨の構造 の回復傾向が認められ、画像上は良好な治癒経過を示しています。
初回根管治療と歯質保存を両立するために
初回根管治療では、根管内の感染源に適切に対処するとともに、将来の修復や機能維持を見据えた歯質の保存が重要です。本症例では、根管形成・洗浄、必要に応じた根管内貼薬、根管充填、接着性修復、全咬頭被覆(歯の噛む面全体を覆う処置)までを一連の治療として行いました。術前から約1年3か月後までのエックス線写真で、病変の改善過程を確認できます。
参考文献・資料
根管治療の原則と洗浄:目白マリア歯科「精密根管治療 専門外来」
水酸化カルシウムの使用については、症例での使用事実と一般的な薬理学的目的を記載しています。European Society of Endodontology (2023) S3ガイドラインでは、適切な臨床処置がなされた無症候性根尖性歯周炎に対して、来院間水酸化カルシウム貼薬なしの単回治療が推奨されており、薬剤単独の優越性は主張しません。
1. Sjögren U, et al.(1991) The antimicrobial effect of calcium hydroxide as a short-term intracanal dressing. International Endodontic Journal. 24:119–125.
2. Siqueira JF Jr, Lopes HP(1999) Mechanisms of antimicrobial activity of calcium hydroxide: a critical review. International Endodontic Journal.
3. European Society of Endodontology(2023) S3-level clinical practice guidelines for the treatment of pulpal and apical disease. DOI: 10.1111/iej.13974
歯を長く残すためには初回の根管治療が重要
今回ご紹介した症例は、他院でむし歯治療を受けた後に強い冷たいものや温かいものによる強い痛みが生じ、いったん痛みがおさまったものの、後に歯肉の腫れが現れた右下第一大臼歯(右下6番)の症例です。診査の結果、歯髄壊死および根尖性歯周炎と診断し、初回の精密根管治療を行いました。
根管治療は根の中の感染源を除去することが基本ですが、将来の歯の保存を考えると、治療のために健康な歯質を不必要に削らないことも重要です。初回治療で感染を適切にコントロールし、健全な歯質を多く保存することで、再根管治療をすることなく生涯にわたって健康な歯を維持できる可能性が高まります。
歯科治療では最初の治療がその後の歯の経過を大きく左右するため、どのような治療も慎重に検討したうえで受けていただくことが大切です。特に根管治療においては安易に治療を進めることは非常に危険です。
本症例では2回の根管治療で根管充填と支台築造まで行い、術後約3か月から約1年にかけて根尖周囲のエックス線透過像の縮小・消失を認めました。病変の大きさだけで予後を決めつけず、適切な診査と手技、感染のコントロールと継続的な経過観察が重要であることを示す症例です。
目白マリア歯科は確実な診査、診断を行い、適切な治療のご提案をさせていただいております。根の治療でお困りの方は一度当院の精密根管治療初回カウンセリングにお越しください。
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