【症例】無症状で進行する虫歯・原因不明の歯肉の腫れを、コンセプトを守った初回根管治療(精密根管治療)で治癒
- 投稿日:2021.11.19
- カテゴリー:根管治療(抜髄)
治療概要
治療内容 | 抜髄(初回根管治療)|精密根管治療 | 期間 | 1週間 |
---|---|---|---|
治療回数 | 2回 | 費用 | 181,500円(税込) ※支台築造処置を含む |
治療前の状態・主訴
この患者様は、左下奥から2番目の歯(下顎第二大臼歯)が年に数回腫れることがあるという主訴で来院されました。痛みがないことから3年ほど放置していましたが、今回不安になり当院に来られたとことです。
レントゲン写真で確認すると、金属の詰め物の下に虫歯を示す黒い影(写真中央の赤丸)と、歯の根の先端(根尖)にも黒い影が確認できました。歯髄診査を行って初診時の状態を調べたところ、歯髄に生活反応(神経が生きているか)は確認できず、歯髄は既に壊死を起こしている状態でした。
患者様に「これまで痛みを感じたことはありましたか?」と尋ねると、腫れの症状が出てから数年経過しているため記憶は曖昧でしたが、強い痛みが出た経験はないとのことでした。
治療詳細
詰め物(メタルインレー)を除去すると歯は虫歯によって軟化しており、容易に歯髄腔まで到達することができました。(写真1)。顕微鏡下でう蝕検知液を使用して虫歯(軟化象牙質)を完全に除去し(写真2)、コンセプトに沿って根管治療を開始しました(写真3)。
今回治療した下顎第二大臼歯の根は、近心根と遠心根という2つの根に分かれています。融合して1つの根になっている場合が多いですが、約3割の確率で、2つに分かれているとされています。さらに近心根は細く湾曲していることが多いため、根管治療は慎重かつ正確に行う必要があります。
治療後の様子
根管治療は2回で終了し、2回目の治療では長年歯茎に見られていたフィステル(瘻孔)も消失していました。症状の消失が確認できたため最終補綴処置に移行しました。今後3ヶ月間〜2年間の経過観察を行い、引き続きフォローアップする予定です。
主な副作用・リスク
・治療計画は口腔内、歯牙の状況により変更する場合があります。
・下顎に対するインプラントを含む外科的処置にて下歯槽神経を損傷した場合、顔面に知覚麻痺が生じる場合があります。
・当院の補綴処置の保証期間は5年間ですが、3ヶ月〜6ヶ月の定期的なメインテナンス、定期検診に来院されていない場合は適用されません。
<歯に痛みがなくても、歯や歯ぐきに違和感を感じたら根管治療が必要な場合があります>
今回の症例は、長年、歯茎が腫れることに気付いてはいたものの、痛みや日常の違和感がさほどないことから放置してしまった症例です。今回のように1回の治療で歯茎の腫れが消失し、無事に終わるとは限りません。歯周組織への炎症の波及が大きいとダメージも広がり、難治化する場合も多くあります。
参考:【症例】歯根破折を疑わせる症例(治療チャレンジにより抜歯を回避)
初回の根管治療を正しい方法(コンセプトを守った処置)にて行うことで、再発のリスクは最小限に抑えられます。また、予後不良の場合は歯根端切除術が必要なケースもありますが、結果的に、将来的な再根管治療を回避することで歯の強度を守ることにつながります。
将来的にご自身の歯で長くお過ごしいただくために、もし歯や歯茎に違和感などを感じる場合は、根管治療を専門とする歯科医師によるカウンセリングの受診をお勧めいたします。
目白マリア歯科では、「精密根管治療 初回カウンセリング」を行っています。お気軽にご相談ください。
併せてこちらもご覧ください。
目白マリア歯科|精密根管治療(マイクロエンド)
目白マリア歯科|根管治療・歯内療法|精密根管治療初回カウンセリング
目白マリア歯科|根管治療・歯内療法
宮澤 仁Miyazawa Jin院長紹介ページはこちら
専門分野
- ・根管治療
所属
- ・アメリカ歯内療法学会
- ・日本歯内療法学会
カテゴリー