【症例】根尖部に充填された人工骨が感染し根尖性歯周炎が難治化した症例。精密根管治療でのリカバリー
- 投稿日:2021.06.25
- カテゴリー:歯根端切除術
治療概要
治療内容 | 再根管治療・歯根端切除術|精密根管治療 | 期間 | 6ヶ月 |
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治療回数 | 3回(予後経過は含みません) | 費用 | 187,000円(税込) 歯の被せものは含みません ※処置当時の料金です |
治療前の状態・主訴
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赤丸 感染した人工骨
患者様は、近隣の歯科医院で全顎的な治療を行っているが、前歯の治療を開始してから、痛みと違和感がずっと続いているとのことで来院されました。
左上2番の歯牙は根管治療中と思われる所見が確認でき、同じ個所の根尖部(歯の根の先部分)には歯肉の腫れと瘻孔(読み:ろうこう サイナストラクト、フィステルとも呼び、歯茎にできる歯の根の先端に溜まった膿の出口)が見られました。
また、レントゲン写真では根尖部に人工骨と思われるまばらな不透過像が確認できました。患者様ご本人は、近隣の歯科医院にて歯茎を切開した記憶はあるが、人工骨を使用した手術を行ったことは記憶にないということで、当時の説明が不十分であった可能性もあります。しかし現時点でそれを判断することは難しい状況でした。
この様な症例では、歯根端切除術後に再度根管治療が行われているため、根尖部の感染は人工骨によるものと予想できます。そのため、感染した人工骨の除去より先に感染経路を遮断する意味合いで、精密根管治療を施し、その後歯根端切除術を行う必要があると判断しました。
治療詳細
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画像A 精密根管治療終了後レントゲン写真
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画像B 赤丸・矢印は感染した人工骨を指す
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画像C 歯根端切除術後レントゲン写真
通法通り、左上2番(赤矢印歯牙)に対して精密根管治療を終了させました(画像A)。
しかし、根尖部の腫れや瘻孔の消失は確認できなかったため、予定通り歯根端切除術を行いました。
画像B の赤丸が示す根尖部付近の感染した人工骨を摘出、最後に病巣窩洞内がきれいになったことを確認し、通法通り歯根端切除術を終了しました。
治療後の様子
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術直後レントゲン写真
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術後3ヶ月後のレントゲン写真
レントゲン写真より根尖部の骨は3ヶ月で順調に再生していると考えられます。
また、術前に訴えておられた違和感や腫脹、瘻孔は消失しており、現時点で経過は良好であると判断しています。
引き続き経過観察を継続していきます。
主な副作用・リスク
・精密根管治療(カウンセリングを含む)、歯根端切除術は自由診療です。
・歯根端切除術を行うことで、歯の動揺が生じる場合があります
・術後、一時的に腫脹が生じる場合があります
<根管治療、歯根端切除術といった治療は専門性の高い治療です。正しい知識、技術をもった歯科医院で治療を受けていただきたい>
今回の症例は、他院にて歯根端切除術を行った根尖部(歯の根の先)に充填された人工骨の感染が原因と考えられます。
しかし、歯根端切除術の成功率は100%ではなく、多くの症例の中には少なからず再度オペを行うケースも出てくる可能性があります。
万が一、歯根端切除術が失敗した場合、人工骨の感染はより事態を悪化させることになります。
歯根端切除術後は術後の透過像で治癒を確認することが重要であり、感染が除去できていれば骨は患者自身の力で自然に再生を行うことになるので、人工骨を充填することはリスクが高い行為であると考えます。
根管治療、歯根端切除術といった治療は専門性の高い治療なので、適切に対応できる歯科医院を選ぶことが大切です。
目白マリア歯科では、各専門分野の歯科医師を揃え、正しい知識、技術を皆様に提供できるよう環境を整えております。
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院長宮澤 仁Miyazawa Jin院長紹介ページはこちら
専門分野
- ・根管治療
所属
- ・アメリカ歯内療法学会
- ・日本歯内療法学会
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